星新一のSFのような夢を見た。
2025年 09月 01日
今朝、星新一のSFのような夢を見た。
昔、地球に宇宙人がきた。宇宙人はいろいろな「音」を集めていた。その星でなければ聞けない音があるのだ、という。それまではそんなことを考えもしなかった地球人はなんで宇宙人が音を集めているのかはよくわからなかったけれど、まわりのものを使っていろいろな音を出してみた。音を出す、という視点で世界を眺めたのは初めてだったのだけど、出してみると本当にいろいろな音が出せた。宇宙人は喜んで音を集めた。
そのうち宇宙人が音を集めているということを知った人たちがどんどん増えていって自分が出した音をわざわざ宇宙人のところに持ってきてくれるようになった。「地球人というのはお人よしなのが多いな」と思いながら宇宙人はそれを集めていった。「もう随分集まったから十分だよ」といって宇宙人はあるとき地球を去っていった。
地球人は音集めが途中からは楽しくなってしまっていたから、宇宙人がいなくなったからといってやめることはなかった。音集めを自分で始めるものも現れた。いかに新しい音を出すか?それ自体が目的になった。これとこれを組み合わせたら新しい音が生まれるのではないか?という「発見の遊び」だ。最初はそれほど面白くなかった音集めに誰もが夢中になった。
そのうち宇宙では「地球に行くと聞いたこともないような音が聞けるよ」という噂が広まってたくさんの他の星からも地球に観光にくる宇宙人が増えていった。
地球ではもうはじめの宇宙人の記憶がなくなっていたし、自分たちの科学による宇宙観測の結果「宇宙人はいない」と思っている人が多かったので、「観光宇宙人向けのルール」として「地球に行っても良いが宇宙人であることがわからないように行くこと」ということが決まっていた。
地球に行くと「こんな音は聞いたことがない」という音を聞いた「観光宇宙人」たちが地球人として住むことも始めた。そして自分たちも地球人に混じって新しい音を出し始めた。
今や「地球の音」は宇宙で知らないものがいないほど豊かなバラエティを持つものとなった。そしてずっとただただ新しい音を見つけることに夢中になっていた地球人と地球にいる宇宙人たちは「このいろいろな音を素材にして何かまったく新しいものが生まれるかもしれない」と気づくものが増えてきた。ひとりひとりがばらばらに集めた音をもしある一つのテーマに沿って並べ直し、重ね合わせ、リズムをつけ、強弱をつけて、「音楽」のようにしたらいったいどうなるだろう?それを洗練させていったら、魅力的だけどカオスだった地球の音の世界に何かとてつもないものが生まれるような気がする。
地球人がそんなことに気づいたというのも宇宙人の噂になり、「これから地球で起きることは宇宙初のことになるかもしれない、いったいどんなことになるのだろう?」ということで、いまは地球を観光しにきている宇宙人がさらに増えているという。

by lks_itnr
| 2025-09-01 07:11
| エッセイ

